朝日新聞の調査によると、日本ではフルタイムで働く女性の賃金は20代前半から男性の賃金を下回り、ほぼすべての分野で50代まで下がり続けている。
年収は政府が公表する残業代や賞与を含む給与データをもとに算出した。
この研究では男性の収入を100に設定し、労働省の2022年の賃金構造に関する基本調査に基づいた。
全分野を合わせると、20代前半の男女の平均差は7ポイント。
正社員では30代で21ポイント、40代で26ポイント、50代後半で30ポイントと賃金格差は拡大する。
この変更は、男性が昇進するにつれて残業時間やボーナスが増加することを反映している。
男性の賃金は低下する傾向にあるため、労働者が60代になると賃金格差は縮小する。
同調査によると、就職直後の20代前半の若者の給与水準が一定の水準を示しているのは「医療・健康」と「教育・学習支援」の分野だけだという。
この年齢層では、「製造業」に従事する女性の年収は男性が100であるのに対し、女性は87.0となっている。 女性は「運輸・郵便」が87.3人、「金融・保険」が88.3人だった。
全年齢を合わせると、「金融・保険」部門の格差が最も大きい。 40代後半では女性の収入は男性の半分以下だった。
政府は女性活躍推進法に関する政令を改正した。
2022年7月から従業員数301人以上の企業に対し、男女間の賃金格差の開示を義務付けた。
労働省によると、今年1月19日時点で、このカテゴリーに該当する企業1万7370社のうち、1万4577社が情報を開示している。 フルタイム従業員の平均給与水準は男性を100としたのに対し、女性は75.2だった。
人事コンサルティング会社マーサー・ジャパンの伊藤美和子氏は、「企業には男女分業が存在しており、男性は社内の重要な役職や管理職を占めているが、女性は引き続きサポート職にある」と語る。
「賃金格差の開示は、企業内の変化を通じて社会規範を変える好循環を生み出すきっかけとなる可能性があります。 »
百貨店などを運営する丸井グループは、女性従業員の給与が男性100に対して70.9であることを初めて明らかにした。
同社の代表者は、丸井は10年以上女性従業員を指導的地位に向けて育成することに取り組んできたため、この数字は衝撃的だと述べた。
同代表者は「これまでそのような努力をしてきたが、依然として大きな隔たりがある」と述べた。
同社は、丸井で指導的地位に就いている女性、または指導的地位の候補者である女性の割合はわずかであると指摘した。
丸井の従業員4,400人の男女比はほぼ半数だったが、上位3位の8割は男性が占めた。 女性は主に下位 3 階級に所属していた。
さらに、労働時間の短縮と引き換えに賃金を減額する部分失業プログラムの利用者の99%が女性だった。 男性は「家族手当」や「残業権」も多く受け取った。
三菱UFJ銀行の女性全体の給与水準は52.7だった。 初めて計算されたこの数字は従業員に衝撃を与えたと代表者は語った。
異動が必要で給与水準が高い「総合職」には男性が多い一方、「一般職」の大半は女性が占めています。
三菱UFJ銀行は長年にわたりこの種の「コース雇用」を追求しており、これにより多くの男性が高レベルの地位に就くことが可能になったと同代表者は述べた。
三菱UFJ銀行は2025年4月から総合職と日本職のキャリアパスを一本化する。
金融業界で一般的となっている、転勤オプション付きのポジションを選択した従業員に追加給与を与える制度も見直す。
銀行グループはこれを、実際に異動した従業員に追加の報酬を与える制度に置き換える可能性がある。
こうした取り組みは格差の縮小に役立つ可能性があると代表者は述べた。
先進国の中でも日本は特に賃金格差が大きい。
経済協力開発機構(OECD)の2022年の調査によると、日本の女性の給与水準は78.7で、OECD加盟38カ国の平均87.9を大きく下回った。
英国、カナダ、ポルトガルなどの国々では、政府が民間企業に給与水準と賃金格差の開示を義務付けることで状況の改善を図っている。
岸田文雄首相は2022年1月の所信表明演説で、「家計の所得増加を考えるとき、男女の賃金格差も大きなテーマだ」と述べた。
それ以来、経済界は賃金格差の公表に対する強い反対の姿勢を弱めている。
朝日新聞社では、2022年の女性正社員の給与水準は男性を100とした場合、85.1となった。
2023年5月時点での女性管理職比率は13.5%でした。
これらの数字は労働省の女性のエンパワーメントを促進する企業のデータベースに掲載された。
(この記事は、岡林佐和、中山美里、増田陽子が執筆しました。)